2024年度は、診療報酬改定の年となります。診療報酬改定は、医療サービスの質と効率を向上させるための重要な手段であり、訪問看護の現場でも大きな影響を及ぼします。訪問看護は、介護保険を通じて介入することが多い一方で、医療保険を通じて訪問看護サービスを受けている利用者も多くいます。
訪問看護の現場では、看護師が診療報酬の知識や制度についてある程度理解していることが求められます。ケアマネージャーから診療報酬に関する質問を受けることもありますので、適切な回答ができるようになると、ケアマネージャーとの信頼関係を深めることができます。
24時間対応体制加算の見直し
オンコールで出動した翌日は通常通り出勤しても特に問題はありませんでした。しかし、今回の診療報酬改定では、夜間の対応を行った際に勤務間隔をあけたり、夜間対応にかかる勤務の連続回数を2回までとするなど、看護業務の負担軽減を図る取り組みが評価されるようになりました。
具体的には、夜間対応を行った場合の勤務間隔の確保や、夜間対応にかかる勤務の連続回数の制限などが導入され、これらの取り組みを行っているかどうかによって、加算の算定が異なるようになりました。
この点については、介護保険でも同様の対応が求められています。「24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取り組み」については、具体的な内容が厚生労働省の公式サイトで公開されています。
訪問看護管理療養費の見直し
訪問看護管理療養費の見直しでは、機能強化型訪問看護療養費と訪問看護管理療養費のそれぞれについて、費用の改定と新たに設けられた要件があります。
機能強化型訪問看護療養費については、専門の研修を受けた看護師が配置されていることが新たな要件として追加されました。この要件を満たせない場合には、「機能強化型訪問看護管理療養費Ⅰ」の算定ができないため、注意が必要です。
訪問看護管理療養費については、「多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに、質の高い効果的なケアが実施されるよう、訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から、訪問看護管理療養費の要件及び評価を見直す」となっています。
具体的な改定内容や施設基準の改定については、厚生労働省の公式サイトで詳しく説明されています。
緊急訪問看護加算の見直し
緊急訪問看護加算でも、緊急時の指定訪問看護が適切に行われるように見直しが行われました。具体的には、一律1日につき2,650円だったのが、「月14日目まで」と「月15日目以降」で異なるようになりました。また、新たな算定要件も追加され、訪問に至った経緯の記録をしっかりと残すことが求められます。
乳幼児加算の見直し
乳幼児加算も今回の改定で見直しが行われました。具体的には、一律で1日につき1,500円の加算が可能だったものが、厚生労働省が定める者に該当する場合は1,800円/日、それ以外は1,300円/日へと見直されました。
退院支援指導加算の見直し
退院支援指導加算では、「長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合に限る」とされていました。さらに「複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合」も新たに追加されました。
訪問看護指示書の見直し
訪問看護指示書の記載内容も見直しが行われました。これまでは「主たる傷病名」のみで大丈夫でしたが、「傷病名コード」の記載も必要となります。6月以降に発行された訪問看護指示書については、コードも記載されているか確認が必要です。
その他の改定について
訪問看護師として働く上で大きく関わってくる改定部分をご紹介しましたが、今回の改定では、その他にもオンラインでの請求を図るための新設や、管理者の責任の明確化なども追加されています。
具体的には、「訪問看護医療DX情報活用加算の新設」「遠隔死亡診断補助加算の新設」「ハイリスク妊産婦連携指導料の見直し」「管理者の責務の明確化」「虐待防止措置及び身体拘束等の適正化の推進」などがあります。これらの項目についても、一度確認をしておくことをおすすめします。